分析事業

分析事業

水蒸気ガス化炭素解析

水蒸気ガス化炭素解析による、従来の炭素分析法とは全く異なる炭素の新しい分析評価をご提案します。

水蒸気ガス化炭素解析とは

水蒸気ガス化炭素解析とは、炭素の種類ごとに水蒸気との反応(水蒸気ガス化反応)の開始温度が異なる特性を利用し、試料中に含まれる異種炭素の分離・定量を行う分析手法です。1)

本手法では、水蒸気ガス化反応の過程において任意の温度で反応を停止することで、特定の炭素成分のみを選択的にガス化・除去した試料を調製することができます。

さらに、この反応停止試料を偏光顕微鏡や電子顕微鏡(SEM、TEM)などで観察することにより、試料中の炭素構造を視覚的に評価することが可能です。2) 試料の調製は弊社にて対応いたします。

水蒸気ガス化炭素解析には、TG-DTA/HUM(株式会社リガク製)を使用します。

水蒸気ガス化反応

C + H2O
CO + H2
C + 2H2O
CO2 + 2H2
TG-DTA/HUM装置の写真

TG-DTA/HUM装置の写真

TG-DTA/HUM装置の断面(概略図)

TG-DTA/HUM装置の断面(概略図)

用途例

  • リチウムイオン二次電池用炭素の被覆炭素と母材黒鉛との分離・定量
  • 黒鉛電極原料(ニードルコークス)の針状構造炭素量の定量化
  • 航空機や自動車用、あるいはスポーツ用品用などの炭素複合材中の炭素の分離・分離
  • 活性炭など吸着材の過熱水蒸気再生による吸着物質の脱離解析3)

その他、種々の炭素混合物質に適応可能です。

事例 石炭系ニードルコークスの比較

通常、ニードルコークスの良否判定は、黒鉛電極を作成しその熱膨張係数を計測することで評価されます。この手法では実験室レベルでも長時間を要しますが、本手法ではこれを短時間で推定することができます。

ニードルコークスは石油系または石炭系ピッチを高温処理して得られる高い結晶配向性を特徴とした炭素材科です。電炉用黒鉛電極の材料として不可欠であり、高い導電性に加え低熱膨張性が要求されます。これらの特性は、結晶の配向性に大きく依存します。

製造元の異なる2種類のニードルコークス(①、②)を分析した結果を図に示します。

①は熱膨張係数が低い良品、②は熱膨張係数が高い試料です。

本分析の結果、①は約1130℃付近で急激な重量減少を示したのに対し、②は約1100℃付近のより低温から緩やかな重量減少が確認されました。

この結果は、①が均一な結晶構造を有する炭素で構成されるのに対し、②は結晶構造の均一性が低い炭素で構成されている可能性を示しています。

なお、重量減少プロファイルは、実験室で作製した黒鉛電極の熱膨張係数データと相関を示しています。3)

以上のように、本手法により、結晶構造の違いに起因する炭素材の品質差を迅速に評価することが可能です。

ニードルコークスの熱膨張係数比較グラフ

事例 石炭系ニードルコークスの比較

異種炭素の分析について
お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

参考文献

  • 1) 矢野都世、久正明、東隆行、日本エネルギー学会誌、2018、97(11)、348-352
  • 2) 矢野都世、久正明、東隆行、第45回炭素材料学会年会、2018、2 C12
  • 3) 根本笙、田中亮、東隆行、化学装置、2024、8月号、37-43
  • 4) 東ら、化学装置、2020、3月号、58-64
  • 5) 特許6864930 多孔性物質再生装置