2017.08.18

焼き付け線のおもしろ話 – マグネットワイヤコラム<第二話>

第一話では、焼き付け線の呼称について触れましたが、今回は特に融着線に関してお話ししたいと思います。

私たちが代理店をつとめるトウトク(東京特殊電線)は日本で初めて自己融着線を開発し、製造、販売したという、誠に輝かしい誇るべき歴史があります。(2010年4月より、トウトクの巻線事業は、古河電気工業、理研電線の巻線事業と合併し、古河マグネットワイヤ(株)となりました)。

1950年代半ば、それまでコイルは巻線後に含浸剤で固定したり、融着剤を塗布しながら巻くことが常識でした。そこに登場したのが、融着剤を使わなくても接着できる、この不思議な電線“マジックワイヤ”、つまり「MZW」(通称エムゼット)です。今も各方面で使用されているMZWは、融着方法(熱風、アルコール、通電)も選択でき、細物から太物まで対応できる、もっとも古く、実績のある融着線といえるでしょう。

わが国最初の融着線MZW以降も、スピーカーのボイスコイル用で大変な好評を得た、溶剤融着タイプで耐熱仕様の「LOCK(ロック)」や、PEWとの組み合わせで格段に耐熱性を向上させた「SV(エスブイ)」、滑剤を内包し、整列巻線性に優れている熱風タイプの「LOCK Y(ロックワイ)シリーズ」など、お客様のニーズに応えるべく、次々と世に送り出してきました。

つまり、日本の融着線の歴史は、トウトクの歴史と言っても過言ではないでしょう。また、このMZWが誕生した、ちょうどこの頃、メーカー営業では手の届かない、きめ細かいサービスを提供するため、トウトク サービスステーションとして、私たちシバタ(当時、柴田商店)も焼き付け線の販売をスタートさせ、トウトクとともに歩んでまいりました。

さて、大変雑駁な話でしたが、下記に私たちが取り扱う、主な融着線を整理いたします。

① 溶剤通電熱風融着タイプ・・・ MZW
魔法のような電線、マジックワイヤと名付けました。
線同士が接着する、ということは当時本当に信じられませんでした。

② 溶剤耐熱タイプ ・・・ LOCK
耐熱の融着塗料です。
鍵がかかったように強固接着力という意味でロックとしました。
主に耐熱モータ、スピーカ用に開発されました。

③ 熱風タイプ ・・・ LOCK Yシリーズ
軟化温度により、1~9まで揃えました。
例えばY1は110℃ Y5は150℃です。
開発者の頭文字を品名に冠しました。

④ 熱硬化タイプ ・・・ SV
スーパーボイスコイルの頭文字を冠し、アルコールで巻いた後、熱硬化処理してガチガチに固めます。
音響メーカーとの共同開発品といえるでしょう。

次回、第三話は焼き付け線の不思議についてお話しましょう。

※「MZW」「LOCK WIRE」は古河マグネットワイヤ株式会社の登録商標です。